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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第30章 魔女の薬(兼続さんルート)(R-18)


――――

謙信「舞の居所が知れてしまった。
 身の保全のため兼続に預ける」

兼続「はっ、かしこまりました」


謙信様は向き直って私の頭を撫でた。もう恋仲の演技は必要ないのに私に触れて、慰めようとしてくる。


「ん……」

謙信「もう大丈夫だ」


心配そうにのぞき込んでくる眼差しに、凍えるような冷徹さはない。


(あれ、謙信様ってこんな人だった?
 そういえばずっと……優しかったかも)


大名の地に来てからは何かとフォローしてくれたし、宴の席や私が襲われていた時も優先して守ってくれた。

私はこの1年、謙信様に感謝していながら、怖くて冷たくて気分屋だと……誤解していたのかもしれない。

ふと興味を覚えてジッと見れば、光の加減で白い頬が色づいて見えた。


(謙信様が女の人に見つめられて照れるなんて、ないない。しかも相手は私だ、絶対ない)


謙信「恋仲役を頼んだばかりに大変な思いをさせたな。
 城に帰ったら舞と別れたと噂を流そう」

「は、はい。お心遣い感謝します」


悠然とした後ろ姿が廊下の角に消えるまで見送り、私と兼続さんは静かに視線を交わして中に入った。

部屋にはうっすらと藤の香りが漂い、緊張していた身体からどっと力が抜けた。


(いつも兼続さんから香ってる匂いだ…)


酒くさい息をかけられたせいもあり、清浄で日常を思い出させる香りに安堵した。


(助かったんだ…よね。良かった)


危機を脱出したことを実感し、私は持ってきた荷物を抱きしめながらフウと息を吐いた。

兼続さんは隣室へ続く襖の前で立ち止まり、淡々とした視線で私を上から下まで眺めた。


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