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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第29章 ぬいと私~愛の告白は大声で~(謙信様:誕生祝SS2024)


~おまけ~


宴の次の日。私は肩を落として大広間を後にした。


「私のぬいがどこかに行っちゃった……。
 私の謙信様……、どこにいっちゃったの?」


女中さんに聞いてもぬいは落ちていなかったと言っていたから、誰かに持っていかれたかもしれない。

なんたって春日山城には謙信様を推している隠れファンが大勢居るから、謙信様そっくりの人形が落ちていたらときめかないはずがない。

宴の参加した人をあたるのも骨が折れるとトボトボ歩いていると兼続さんに会った。


兼続「いつまで放っておくつもりだ。ちょっと来い」

「な、なんのことですか」


わけがわからないまま兼続さんの部屋に通されると、文机の隣に子供用の机が用意されていて、そこに謙信様のぬいが座っていた。


「あ!あった!……ん?」


近づいてみると、ぬいの下には高級そうな布が畳んで敷かれていて、机の上にはお茶と梅干が置かれていた。

そしてちょっと離れた所に植木鉢が置かれていて、ほころびはじめた梅の花が楽しめるようになっていた。

なんとまあ、とっても大事にされている雰囲気だ。


兼続「昨夜大広間に落ちていた。
 謙信様を何度も落とすとは、お前の愛情はそんなものか」

「う、すみません」


じろりと紫の目に睨まれて首をすがめる。


「とりあえず早朝庭で散歩をしてウサギ達と顔合わせした。
 その後俺と一緒に朝食を召し上がり、食後は温かい日差しで日光浴をしていただいた」


なんだか兼続さんの表情が満ち足りている。


「え、すごい、そんな健康的な朝を過ごしたんですね」

兼続「少し退屈そうにされていたので梅の花をお持ちして、それを愛でながら飲む茶を出したところだ」


ぬい活の説明をしていないのに、兼続さんは立派にそれをこなしていた。

しかも私よりも随分素晴らしい内容で。

悔しくなってさっさと引き取って帰ろうとぬいをガシッとつかんだら、頭に軽い手刀が落ちてきた。


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