第29章 ぬいと私~愛の告白は大声で~(謙信様:誕生祝SS2024)
謙信「幸せ者……か」
「ええ。どんなに小さくても幸せは幸せです。
謙信様の周りにはたくさんありますよ」
謙信「たくさんある中でも舞が傍に居る幸せより大きなものはない…。
執着の強い俺でも良いと、この大広間で叫ぶなどと……」
謙信様がさっきのことを思い出して、ぷっと吹き出した。
「あれは…皆が好き放題言うんですもの」
謙信「推しぬいもありがたかったが、何よりもあの言葉が嬉しかったぞ」
首の後ろに回された手に引き寄せられ、おでこに唇が押し当てられた。
「ん…」
うっとりと吐いた息が首元にかかると、謙信様の身体が小さく震えた。
謙信「部屋に戻るぞ。
今夜お前の気持ちは貰ったが、俺の気持ちはまだ与えてない」
「今日は誕生日だから貰いっぱなしでいいんですよ、謙信様」
手を引かれて、慌ててチョコレートの箱を掴んだ。
これだけで十分なのに、これから愛してくれるなんて幸せ過ぎないだろうか。
謙信「何を言う。お前の贈り物で俺の心は満たされて、苦しいほどだ。
この気持ちを返さなくては気がおかしくなる。
愛させてくれ、舞……」
大広間を出たところで、待ちきれないとフライングのキスが落ちてきた。
謙信様の熱いキスに夢中で応えていると、大広間でどっと大きな笑い声があがった。
つられて笑んだ私に、謙信様も柔らかく笑ってもう1度唇を寄せてくる。
謙信様がくれたキスは
溶けないチョコをなめ合うようにいつまでも続き
まるでチョコレートみたいな
とろけるような甘いキスだった
END