• テキストサイズ

☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第29章 ぬいと私~愛の告白は大声で~(謙信様:誕生祝SS2024)


謙信「天井裏で佐助と汗をかくようなことをしたのか」


この言い方…すっかりいつもの謙信様だ。


「天井裏を移動するのは大仕事だったということです!
 春日山城の天井裏はこりごりです」

謙信「俺の部屋に近づく程に罠は増え、複雑な構造になるからな。
 よく来たと褒めてやろう。
 だが汗をかいたおかげで佐助の匂いがお前に移ってしまった」

「今は謙信様の香りがします」

謙信「いいや、佐助の匂いがする。
 軍神の恋仲に匂いをつけるとは佐助め…。
 あの忍び服には舞の汗と香りが染み込んでいる故、燃やしてくれる」

「え!?勿体ないですよ。佐助君は善意で貸してくれたのに」

謙信「あの着物を佐助が着ると思うと、八つ裂きにしたくなる」

「あ、はい…わかりました。
 燃やしてください」


通常営業に戻った謙信様は、こうなってしまってはどうにもならない。


(佐助君、わざと謙信様が怒り狂って部屋から出てくるようにしたのかな。
 だから私に忍び服を着せて、天井から落としたのかも)


きっとそうだ。
流石謙信様のことをよくわかっている。


謙信「湯殿の準備はまだか…」

「まだ5分も経っていませんよ。
 500年後の給湯器でも無理です」


羽織の下の自分の匂いを嗅いでみる。


(ほんとだ。なんとなく煙玉とか薬草みたいな匂いがする)


いつも佐助君が常備して持ち歩いているから、それが佐助君の匂いとして定着している。

意味もなくフフと笑っていると強烈な視線を感じた。


(ん?)


ズイと身体を近づけられてたじろいだ。


謙信「佐助の匂いがそんなに良いか?」

「ち、違います。この羽織から謙信様の香りがするな~なんて…」


美しい目に宿る危険な光に、嫌な予感がした。


謙信「匂いを落としてからと思ったが……」


謙信様の手が伸びてきて予感は確信に変わった。


(うわわ!?まずい!)


前身頃を掴む手に力を込め、わざとらしく震えてみせた。


「う、さ、寒いですね!すごくっ!
 羽織ごと抱きしめてください。
 寒くて風邪をひいてしまいそうです!」


コホンコホンと咳をしてみれば、羽織の内側に潜り込もうとしていた手がピタリと止まった。


謙信「可愛いお前が風邪をひいたら困る」


謙信様はそう言って、渋々私を抱きしめてくれた。


/ 1022ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp