第29章 ぬいと私~愛の告白は大声で~(謙信様:誕生祝SS2024)
「ん…」
ついばむような口づけは深まっていき、舌と吐息が熱く絡み合う。
舐められていない場所がなくなるまで舐められ、舌を扱くように吸われた。
時折歯がぶつかり合ってガチ、ガチと音を立てても謙信様は口づけを浅くしようとはしなかった。
謙信様の手が熱くなった身体をさすり、着ている物に触れると戸惑いがちに離れていった。
(そういえば…)
佐助君の忍び服を着ていたんだった。
それもサイズ違いを補正するために伊達締めできつく縛っているところもある。
意識が衣服に向いたのは私だけではなく、謙信様も唇を離した。
謙信「……他の男に匂いをつけられるとは不快な……」
「えっ、えぇっ!?」
口づけの余韻もなく裸に剥かれてしまった。
「うぅ……寒いです、謙信様…」
寒さに震える私に鼻を近づけて、謙信様は不愉快な顔をしている。
謙信「まだ匂いがしているな」
そう言って自分の羽織を私に掛けてくれて廊下に声をかけた。
謙信「居るか?」
家臣「はっ!?はいっ!!」
ひきこもりの謙信様から声がかかって、控えていた人がびっくりしている。
謙信「湯殿を用意しろ。舞も一緒だ」
「え」
まだ湯浴みの時間には早くて、下手をすれば掃除をしている時間だ。
しかも私が一緒の時は蒸し風呂ではなく湯船を用意してくれるから大仕事だ。
あとで謝りに行かなきゃ。
家臣「ただいま、湯番に急ぐように伝えてきましたっ!
今しばらくお待ちください」
ああ、今頃湯殿はひっくり返ったように大騒ぎだろう。
謙信様は佐助君の忍び服を丸めて廊下に放り出し、もう一枚羽織を出して掛けてくれた。
事あるごとに鼻を近づけられスンと匂いを嗅がれる。
「天井裏で汗をかいたのであまり嗅がないでください」
埃っぽいし汗臭かったら嫌だと羽織を引っ張り上げた。
裸に羽織だなんて、湯殿の準備ができるまで忍び服で良かったのにと体を小さく丸めた。
今は2月だし、スース―して寒い。