第29章 ぬいと私~愛の告白は大声で~(謙信様:誕生祝SS2024)
熱をあげて説明しすぎて、謙信様は若干押され気味で苦笑した。
つい現代で推し活していた時を思い出して熱く語ってしまった。
「ええ、もちろんです!
もうその人形は私だと思って可愛がってください」
せっかく謙信様が元気になったから、昔、乙女ゲーのキャラでぬい活していたのは内緒にしよう。
(そういえば現代に居た頃から、私はヤンデレキャラが好きだったな)
ヤンデレキャラを具現化したような謙信様に愛されて嫌いになるわけがない。
私がヤンデレ専愛だと知っていれば謙信様も思い悩むことはなかっただろうに、言っておけば良かった。
「あとこちらは私用の人形ですが、謙信様に似せてあるんです」
もうひとつぬいを取り出して謙信様に渡して見てもらう。
謙信「ふむ、俺にそっくりだな」
「恋仲同士で、こういう人形を持っているのも仲良しな感じで良いかなぁ~なんて……私の自己満足なんですけど。
とにかくどこへでも一緒に連れて行けるので大変便利なんです」
謙信「なるほど、これでいつでも舞と一緒に居られる気分になれるのだな」
「そうです!いいですか、注意点はイコールです。
ぬいは私ですからね。
そしてこの謙信様に似せたぬいも、謙信様自身です。
イコール、お、な、じ、ですからヤキモチ焼かないでくださいね。
ぬいが居るから、離れている間もますます謙信様のことが好きになれるんですから」
謙信「このぬいが舞……」
まるで暗示をかけるように謙信様は私のぬいを見つめている。
「そうです。
あとは他人に『私の推しは謙信様です』と、言わずともわかるというか、そういう役割もあります」
謙信「それは良い役割だ」
謙信様はご自分と同じ姿をしているぬいを掴み、『くれぐれも舞は俺のものだと誇示してこい』と命じている。
(ちょっと違うけど、まあいいかな)
真面目な顔でぬいに話しかけているお姿が可愛すぎる。
謙信「あの日は俺の贈り物を探していたのか…。そういえばそのような時期だったな。
すっかり忘れていた」
美しい目に喜色の光が見えた。
(そんなにあの日のこと気にしていてくれたんだ…)
つき合ってもう長いのに、こんなに関心を寄せてくれて私も嬉しい。