第29章 ぬいと私~愛の告白は大声で~(謙信様:誕生祝SS2024)
謙信「なに?」
「私が謙信様の好きなところをあげると、
他のことが見えなくなるくらい私のことを好きとか、
大げさなくらい他の男性を牽制するところとか、
なんでも知りたくて粘着質な感じとか、
こうして私に嫌われちゃうかもって思い詰めちゃうところもいいな…」
本人を目の前にして惚気まくってでれっとしていると、謙信様は眉をひそめた。
謙信「それは俺の欠点ではないか?」
「いいえ、間違いなく私が好きなところです!
謙信様は素敵なところをたくさん持っているんですから、もう少し自己肯定感を持った方がいいですよ」
ヤキモチを妬かず、束縛もないスマートな謙信様?
そんなの謙信様の長所を削り取った、ただのイケメンになっちゃう。
ただのイケメンじゃ私は嫌だ。物足りない。
イケメンかつヤンデレだからこそ謙信様で、そこが好きなんだから。
謙信「では舞は狭量な俺でもいいと言うのか」
「だからもっと自己肯定感を持ってくださいって。
謙信様を狭量だと思ったことは1度もありません。
こんなに愛されて幸せだなって思っていますよ」
鋭いばかりで死んだような目に二色の輝きが蘇ってきた。
キラキラと、何度も思うけど宝石みたいだ。
「ゆったり構えて動じない謙信様は、戦の時だけで十分です。
私の前では、そのまんまで居てください。
嫌いになんかなりません」
出会った頃から過干渉で、それにすっかり慣れていたのに、いきなり無干渉になられたらこっちがついていけない。
謙信「あの日城下に出たお前を、佐助も幸村も信玄も、義元も…探すなと言っていた。
俺はその理由を知りたいと思ったが、それを聞けば舞は嫌がるだろうと思って我慢した……ふりをした」
「ふり、ですか?」
謙信「そうだ。義元の前ではわかったというふうに振る舞ったが、どうしてもお前の秘密を知りたくてならなかった。
舞のことなら誰よりもわかる人間でありたい。
他の人間の口から舞のことを聞きたくない。
全て知っていたいと、この気持ちをどうしても抑えられない」
思えば最近の謙信様は、以前と比べて束縛を緩めてくれていたように思う。
もしかしたらそれは上辺だけで、内心では変わらず私を縛り付けたいと思っていたのだろうか…。