第2章 姫がいなくなった(政宗&蘭丸くん)
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それから〇日後の早朝。
ドスンッ!
静寂だった寝室は突然騒がしくなった。
政宗「いってえ!」
照月「みゃっ!?」
腹の上に突然『重たい何か』が落ちてきて政宗は飛び起き、政宗の褥の上に寝ていた照月も、飛びあがった。
政宗の上に、大荷物を背負った女が跨っている。
「いったーーーー………」
夜明け前の薄暗い室内に間の抜けた声が響いた。
政宗「っ、舞!」
「ま、政宗?よ、良かった……帰ってこれた!!会いたかったよ、政宗ぇ~~~」
政宗にがばりと抱きついた舞からは、戦国の世にはない、芳しい香りがした。
政宗の精悍な顔にあたる舞の髪は薄闇でも艶を放ち、さらさらしている。
政宗は反射的に抱きとめ、何度も髪を梳いた。
政宗「遅かったな?待ちくたびれたぞ?」
「えへへ、ごめんね、政宗のために綺麗にしてきたの!
あ、そうそう、これがネイル!見て?」
政宗「暗くてよく見えないから、それは後だ」
「えーーーー、政宗ったら女心がわかってないなぁ。すぐ見て欲しいの!
お土産もね、いっぱい買ってきちゃった♪」
政宗は素早く身体を起こし、舞の荷物をするりと背から落とした。