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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第29章 ぬいと私~愛の告白は大声で~(謙信様:誕生祝SS2024)


張り切って返事をした私だったけど、最初の縄梯子で躓き、次々と襲ってくる罠の数々に神経をすり減らし、謙信様の部屋に着いた時には、戦意喪失状態になっていた。


「はぁはぁ!天井裏やばすぎない?
 ちょ、ちょっと休憩………」


変な粘着物で足を取られ、無理やり動いたら足袋が脱げて片足は裸足。

ずっと這いつくばっていたので背中も痛いし、すすと汗で手も頬もきっと汚れている。


佐助「お疲れ様。でもすぐに謙信様に気づかれるから休憩はできないと思う」


え、と聞き返す声と、下から響いた低い声が重なった。


謙信「佐助か、何の用だ」


(謙信様の声だっ……!)


数日ぶりに聞いた声に胸がキュンとした。

佐助君は私を見つめたまま、口の端っこをほんの少し持ち上げた。


佐助「少し早いですが誕生日の贈り物を届けに来ました。
 とても繊細なものなのでしっかり受け取ってください」


(え、受け取ってください?
 まさか……)


嫌な予感がして、おそるおそる佐助君を見つめた。


謙信「今は贈り物などいらん。後にしろ」


佐助君は天井下に話しかけながらも、私の方を見て『黙っていて』という顔をしている。


佐助「生憎ですがもう持ってきてしまったので受け取ってください。
 万が一落としたら、謙信様は死んでも死にきれない後悔をします、とだけ言っておきます」


(落とす!?うそ、紳士な佐助君がまさか?)


やめてよと佐助君にゼスチャーを送る。


謙信「なんのことだ」


佐助君は『大丈夫、謙信様を信じて』と小さく呟いて天井板を外し、私が眩しい光に目をつぶった瞬間にヒョイと抱き上げた。


「っ」


そうしてつま先を下にして、穴から落とされた。

佐助君の手が離れる瞬間『Good luck!』と素晴らしい発音で言われたけど、まるでそれは死の宣告のように聞こえた。


「ひゃっ!!」


(うそでしょ――――――!?)


突然の浮遊感に全身が縮みあがった。


(謙信様に会いに来て死んじゃうなんて、いやぁぁ――――)


永遠のような一瞬の間に、死んじゃうと覚悟した。


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