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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第29章 ぬいと私~愛の告白は大声で~(謙信様:誕生祝SS2024)


謙信「…主従そろって何を呑気に茶など飲んでいる?
 舞はどうした?」


卓には3人分の湯飲みと皿が置かれている。

信玄と幸村の湯飲みには茶が半分以上残っており皿の上にも食べかけの甘味が乗っているが、一組だけ空いた湯飲みと皿があった。

その主が見当たらず、もう一度辺りを探ったが舞の姿はなかった。


(いないな…)


想像が現実になっていないことに安堵したが、姿が見えないことに不審を抱く。

いったいどこへ行ったのか。


信玄「ん?謙信か、お早いお帰りだな?」


大柄な身体がのっそりと動き、こちらに向き直った。

にこやかに笑っておいて腹に何か隠している。


(煩わしい)


謙信「俺の帰りが早い遅いなどどうでも良い。舞はどうしたと聞いている。
 佐助から任されておいて、まさか野放しにした分けではあるまいな?」


ただならぬ雰囲気に周囲が静まり返った。
それに気付き、幸村が面倒そうに外を指さした。


幸村「あー、それなら義元が一緒に行ったんで心配しないでください」

謙信「なに?何故義元がそこで絡んでくる?」


信玄と幸村が視線を交わし合い、幸村が歯切れの悪い調子で答えた。


幸村「義元が良い店を紹介するとかしないとか」

謙信「なんの良い店だ?」

幸村「さあ?俺は知りませんよ」


幸村は明らかに知っているという顔だが、知らないと目を逸らした。


(城下のことならば俺に聞けば教えてやったのに、何故舞はわざわざ義元を頼った?)


俺が出かけていたからと言えばそうだろうが、さっきから除け者にされている気がしてならない。


信玄「舞もそんなに遅くならないうちに戻るだろう。
 どこの店に行ったかわからないんだから謙信は城で待っていたらどうだ」


信玄が幸村の皿から蒸し饅頭を取り上げ、かぶりついている。

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