第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)
「もう…お好きになさってください。
代わるがわる私の身体を検めて、嫌になっちゃいます」
登城前にぐちゃぐちゃに抱かれたから、身体を見られてソコが蕩けていたとしてもわからない。
光秀様は身体を検めると言って、本当は私の反応を見ている。
「検めて何もなかったらお詫びの口づけをしてもらいます」
光秀「ふっ、わかった」
「あと朝起きて居なくなっていたら承知しませんからね。
もう絶対光秀様のところに泊りにいきません」
光秀「大丈夫だ。明日は舞と過ごそうと一日空けておいた。
昼まではゆっくり御殿で過ごし、午後は城下に逢瀬に行こう」
「え⁉光秀様と……逢瀬っ」
憧れていた逢瀬に光秀様と行ける。
警戒していたのを忘れて頬を緩ませると、琥珀にやっと温かい色が戻ってきた。
玄関で履物を履いて外に出ると辺りは真っ暗で、光秀様が用意していた提灯だけがぼんやりと光る。
淡い光に光秀様の端正な顔が妖しく照らされ、息をのむ美しさだ。
光秀「舞がクタクタになるまで楽しんで、そのまま御殿に引きずり込むのもいいな?」
「なに破廉恥なこと言ってるんですか!
明日は帰りますからね!」
(こんな風に、ずっとあなたと一緒に居られるなら)
光秀「お前を甘やかしたかったのに残念だな」
光秀様が笑うと提灯の光もゆらゆら揺れる。
(今夜の事は欺いてみせる)
「なんと言われようが帰りますからっ。
あ!……でも明日は仕事でした」
急に思い出して落ち込んでいると肩にするりと手が回った。
光秀「とっくの昔に数日休むと連絡しておいた。
嫌だったか?俺の可愛い恋仲殿」
「っ、それはそれで恥ずかしいですが、ありがとうございます」
俯くと着物の糸が提灯の光を跳ね返している。
光秀「……その着物はもう着る気になるまい。
代わりの品を用意しておいた。明日はそれを着て逢瀬と行こう」
「……2日連続着たのでしばらく箪笥に仕舞っておきますね。
着替えを用意していただいてありがとうございます」
光秀「舞」
「はい?」
提灯が私の背後に回って、視界が暗くなった。
昼ならばたくさんの人間が往来する道の真ん中で、私は抱きしめられた。