第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)
信長「俺の左腕が道半ばで倒されては面倒だ。
倒れないよう根本を強固にしておく必要がある」
「信長様……」
横になったらお酒が余計に回る。
半分落ちかけた瞼に柔らかく唇が押し付けられた。
信長「好きでもない男に抱かれてみろ。
それで耐性がつくとは思わんが、一途で純な女では、このさき心折れる出来事があるやもしれん」
「それは……」
どんな出来事ですかとききたかったけど、怖くなってやめた。
信長「帰って光秀を化かしてみろ。
貴様が失敗すれば、俺は死ぬだろうがな」
「っ!その言い方はズルいです、信長様。
私にあの人を騙せる力なんて……っ」
信長様の手が背に回り、帯の結び目を解いた。そんな状況でも信長様は相変わらず威厳に満ちていて、情欲の気はない。
金平糖を食べていた可愛いお方じゃない。
これは………道理を捨てた天下人の姿だ。
信長「力不足だがその才はある。光秀を化かせるかは貴様次第だ。
中途半端な気概でいけば到底見破られるだろうがな」
「そんな…」
信長「狐には狐だ」
「…?」
なんのことだろうと見返せば、信長様不敵に笑っている。
面白いものを見るような目をして。
信長「狐同士、化かし合え。
俺の命、貴様に預けよう」