第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)
端正な顔に一瞬の不安が横切った。
私がわからないところまで先を読んで、不安を膨らませているに違いない。
「光秀様、こっちに来てください」
少しでも不安を軽くしてあげたいと力の入らない手で光秀様の頭を引き寄せた。
情事の激しさで腕は疲労していたけれど、彼の首の後ろと頭を包むようにして抱きしめると、光秀様は弱い力に身をまかせてくれた。
光秀様の身体から力が抜けて、体重がずしりと乗ってきた。
私に負担をかけないように彼が自分で支えていた重みと優しさが嬉しい。
「今は少し休んでください。
考えすぎて煮詰まってしまってはよくありません」
光秀「こうしていると気持ち良い。ありがとう」
耳たぶをハムっと甘噛みされた。
「っ⁉」
急に素直になられて仰天した私は、でも光秀様に休んでもらいたくて無言で目を白黒させ、ついには気づかれて笑われてしまったのだった……。