第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)
光秀「舞、様々な事柄が理解できたところで、やはりやらなくてはいけないことがある」
「ええ…。でも正直寝てしまいたいです」
信長様はいつもでも煮え切らない私達が面倒になり、枕を交わさなくてはいけない状況を作り出した。
一夜を共にすれば、お互いの想いは成就して恋仲に発展するのは必至。
(凄いな信長様は…天主に居ながらにして人を操ってる)
今の今も天主で機嫌よくお酒を飲んでいるだろう。
天下の信長様に夜をお膳立てされたなんて恥ずかしすぎるから『寝たい』と後ろ向きの発言をした。
無論本気で寝ようなんて思っていなかったけれど、布団に顔を押し付けてゆっくりしていた人が目を光らせた。
眼光の鋭さに、目を覚ました獣のようだと思った。
光秀「睡姦の趣味はないが仕方ない。
もうお前の事で気を揉むのはごめんだ。生ぬるい手では信長様に奪われるからな」
「すいかんってなんですか?」
光秀「同意をとらず、寝ている女を犯すことだ」
「えっ!?」
光秀「仕方ないだろう。抱かねば明日にでも奪われる。
女が呑気に寝ると言っているんだから強引に奪うしかない」
「寝たいって言っただけで寝るとは言ってないですっ!
今夜の光秀様は余裕がないんですね」
光秀「今は非常のときだからな」
「恋仲になったって正直に言うだけで良いじゃないですか。
私じゃなく光秀様なら信じてくれる気がするんですけど…」
光秀様はフッと笑いをこぼした。
光秀「生憎味方にも平気で嘘をついてきた人間だからな」
「…今までどんな人間関係を築いてきたんですか」
強がって言い返しながら、掛け布団を引き上げて容易に奪われないように端っこを握りしめた。
(ほ、本当にしなきゃダメなの?)
光秀様の手が掛け布団にかかった。
光秀「秀吉と三成から話を聞けば、信長様はお前を大層気に入っているようだ。
俺とお前の仲に遠慮なさって静観していただろうが、今夜事態は動き、俺達に進展がないとわかれば間違いなく明日の夜は動くだろう」
「……ぅ」