第28章 狐の化かし合い（光秀さん）(R-18)

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光秀「なるほどな。面倒が過ぎて動いたということか」


私の話を聞き終わった光秀様は、全部理解したという表情で苦笑した。


「………あの、一人で笑っていないで、どういうことか説明していただけないでしょうか？」


光秀様の纏う空気が軽くなり、私はそれに便乗しそこねて重たい空気のまんま。

……恨めしい。


光秀「最初から信長様に踊らされていたということだ」

「私と……もしかして光秀様が？」


大きな手が頭をぽんぽんと撫でてくれて、私の言ったことはどうやら正解だったらしい。


光秀「信長様は今夜俺がお前を助けることを知っていたか、予測していたんだろう。
　さらに明日登城を命じたのは、俺にお前を抱かせるための謀だ。
　いつ計画されたのだろうな」


（だ、抱かせるって……）


説明が不十分すぎて、事情がさっぱりわからない。

状況はわからないけれど光秀様が「抱く」という度に心臓が跳ねた。


「つまりどういうことですか？」

光秀「いつ信長様が気づかれたのかわからないが、俺とお前の気持ちを知ったのだろう」

「気持ち……？」


（それはどんな気持ちのこと？）


約束という封印を施した恋心だとしたら、どうして信長様は知ったのだろう？

光秀様の気持ちとは何のことだろうか？

私と光秀様の過去の関係だって、九兵衛様くらいしか知らないはずなのに。


光秀「信長様は頻繁に舞を呼び出したが確信が持てず、夜に呼び出して危機感を煽った。
　そうしたら町娘が一生働いても得られないような豪華な着物で登城してきた。不自然さに目を付け、お前が着物の贈り主を好いているのではないかと予測したのだろう」


（着物の贈り主を好いてって……）


心臓が嫌な音をたてた。視界の片隅に、例の着物が綺麗に掛けられているのが映っている。


（光秀様は今夜私があの着物を着ていたことを知っている）


光秀様に恋心を悟られたくない。
悟っていたとしても、私に約束を守らせるために知らないふりをして欲しい。