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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)


光秀「平穏にどっぷり浸かって頭が鈍ったかと思ったぞ。
 今の答え方は上出来だ。誉めてやろう」

「あなたに褒められても嬉しくありません」


引かれた髪がピンと張るのも構わずそっぽを向いた。

光秀様に褒められると何故か馬鹿にされているような、そんなひねくれた感情が沸き起こるのはどうしてだろう。


光秀「くくっ、どうやら城下一の看板娘は機嫌が悪いようだな」

「ええ、寝せてもらえないのですから不機嫌にもなりますよ」


しかし寝てしまったら当たり前だけど日付は変わる。

太陽が昇り、西に傾く頃、私は勝ち目のない勝負をしなくてはならない。


(明日こそ夜伽をしなくてはいけないんだ)


それを回避する術を私は持っていない。


光秀「舞」


クンと髪を引かれて、抵抗もできずに光秀様の方を向かされた。整いすぎている顔が目前に迫り、考えていたことが頭からスポンと抜けてしまった。


「な、んですか、というよりも近づきすぎだと思います。離れてください」

光秀「八方塞がりのお前に選択肢をやろう」


またこの人は…、私の言葉なんて通り過ぎる風と一緒くたにしているとしか思えない。

そう呆れながら、ろくでもない選択肢の予感がして眉をひそめた。


(この人がくれる選択肢に平和的解決方法なんて無い)


私の心情を読みとって光秀様は満足そうに笑っている。


光秀「与えたエサにすぐに食いついてこないところは舞らしいな。
 信長様の妾になり、城で暮らすのも悪くないだろう?生活に苦労しなくて済む」


私が嫌がっているのを知っていて言っているんだから、相変わらず性格が悪い。


「……」

光秀「働き者のお前には苦痛だろうがな?」

「わかってるなら妾の話をしないでください。嫌なお人ですね」

光秀「くく、誉め言葉だな」


選択肢を提示する時間稼ぎのような会話だ。

口では文句を言いながら光秀様への愛しさで胸は膨らんでいた。


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