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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)


重い瞼を上げれば、寝ている私に添うように光秀様が寝転んでいた。暗闇にうっすら見える相貌は1つの欠点もなく整っている。

綺麗な琥珀色の瞳は静謐をたたえ、癖のない銀糸の髪が闇に浮かびあがっている。


(光秀様だ………)


思い出とは美化されていくものだと聞いたことがあるけれど、目の前の光秀様は記憶にあるよりも格段と美しかった。

一瞬にして心の臓ごと持っていかれるくらいに……。

私には上質な布団が掛けられていて、光秀様はその上に寝そべっている。

直接触れ合っている部分はないが、距離の近さと掛け布団が微妙に引っ張られている感覚に眠気は吹き飛んだ。


光秀「起きたか」


更けた夜に気遣って、麗しい光秀様の声は低められている。

それでも焦がれた人の声に胸は否応なしに高鳴った。


「光秀様が何故いらっしゃるのですか?」


嬉しさを堪え、光秀様に問いかけた。

あの夜以来、城下でも安土城でも会わなかったのは光秀様が徹底的に避けていたからだ。

それならば何故私の前に姿を現したのか?
それがわかるまでは再会を喜ぶ素振りを見せてはいけない気がした。


光秀「信長様と天主で何をしていた?」


私の問いを一切無視して尋ねられた。

人に不快感を与える話し方に眉を顰め、目の前の像が夢ではなく現実なのだと理解した。


「人に物を聞かれたら答えなさいってお母様に言われませんでしたか?
 あぁ、あなたの問いに答えるならお酒を飲んでいました、ですね」


このムカムカさせられる感じが泣きたくなるほど懐かしい。

そう思っているのを悟られないようにしたせいか、自分の声は必要以上に刺々しかった。


光秀「酒を飲んでいただけ?
 時折天主から女の高い声が聞こえていたと聞いたが…」


刺々しい口調をものともせず、光秀様は憎らしいほど普通に言葉を返してきた。

口ぶりからすると天守の様子を直に聞いたのではなく人伝に聞いたようだ。

高い声と聞いて何のことだと思い、一人で納得した。


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