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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)


――――

(姫目線)

お酒って頭がぼうっとして嫌なことを考えずに済むし、身体がポカポカふわふわして気持ちがいい。

秀吉様と家に帰る途中だったはずなのに、この心地よい揺れはなんだろうと考える。

なんだか懐かしい香りがすると大きく息を吸い込めば、胸いっぱいの幸せがこみあげてきた。


九兵衛「何を寝ながら笑っているんでしょうね?」


(あれ、この声は秀吉様ではなく九兵衛様だ)


真横からの声だが、少し距離がある。


九兵衛「私以外に靡かないでくださいと言ったじゃないですか。相手が信長様では私は手も足もでないんですよ?
 今夜天守に居ると聞かされて心臓が止まるかと思いました」


(心配して来てくれたのね)


ありがとう、と言葉にできない分を胸の中でつぶやく。

こうして駆けつけてくれるくらい私のことを想ってくれているんだと、九兵衛様の本気が伝わってきた。


(軽い気持ちで告白していたんじゃなかったのね…そっか……)


「……ごめんね、九兵衛様」


私は酷い。この状況において駆けつけてくれたのが光秀様じゃなくて九兵衛様だったことにガッカリしているなんて。

夜伽を覚悟した時、光秀様から贈られた着物に願をかけてしまった。

お店に足しげく通ってくれた九兵衛様を頼りにせず、あの夜以来一度も会っていない光秀様に助けを求めていた。

その選択をした理由は誤魔化しようもないから、九兵衛様の気持ちに向き合って答えるならそれは……。


「九兵衛様……ごめん…なさい」


同じ言葉をもう一度口にすると、九兵衛様だろうか、大きな手が頭を撫でてくれた。


九兵衛「最初からわかっていましたよ。もう寝てください。
 ………この後は……で、じきに追手を巻いて………。かんしゃく玉は残り1つ……」


九兵衛様が誰かと話しているのを聞いているうちにまた眠たくなってきた。


(九兵衛様にちゃんと言わないといけない…)


きちんとお話しなくちゃと思うのに、目が重たくて開かなかった。


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