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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)


光秀「秀吉、三成がお前を探していたぞ」

秀吉「三成が?」

光秀「曲者が姫の部屋の周りをうろつき、煙玉のようなもので追手を巻いた。
 三成は姫の護衛に徹して動けず、秀吉に指揮を頼みたいらしいぞ」

秀吉「そこまで詳細に事情を聞いたんなら、お前が指揮すれば良かっただろうが!」


そんな緊迫した状況を把握していながら何故余裕ぶってるんだと秀吉は憤った。

気配を消して歩く余裕があるならさっさと動けと、舞が寝ていなければ怒鳴っているところだった。


光秀「俺が曲者を手引きした張本人かもしれんのに指揮をとらせて良いのか?」

秀吉「なんだと?」


表情を険しくさせた秀吉と光秀の間に冷たい沈黙がおりたが、それは数秒で終わった。


光秀「…と、馬鹿正直に明かすわけがないだろう。
 三成はお前に来て欲しいそうだ。そこの小娘は俺がどうにかするから秀吉は指示を出せ」

秀吉「誰がお前なんかに舞を任せられるか!」


信用できる人間に預けて…、そう考えた時に信長の言葉が思い出された。


『途中で貴様の役を変わるという奴が出てくるだろう。
 その時はその者に舞を任せろ』


(信長が言っていたのは、よりによって光秀の事か?)


光秀に任せられない。

頭が拒否しているが、言う通りにすれば今夜の事件は解決するとまで言われている。

無論信長の命とあらば、逆らうことは許されない。


秀吉「くそっ、いいか?必ず送り届けろ」

光秀「わかっている」


光秀はよこせとばかりに両腕を差し出した。

光秀が舞の身体に手を添え、自分の方に倒れこむように胴体を引っ張ると、細い身体はあっけなく秀吉から光秀の手に移った。


秀吉「絶対だぞ。というか家を知っているのか?」

光秀「無論だ。俺の店で働いている人間だからな。
 住まいは把握している」

秀吉「お前の店?あの茶屋がか?」


驚きの声を無視して光秀は方向を変え、顔だけで振り返った。


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