第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)
信長「明日こそ勝敗をつけるぞ。明け方まで帰れないと思え」
今夜飲んだお酒を消化しきれないうちに次の誘いだ。だが相手が信長では断れないと舞は仕方なく頷いた。
「はい」
秀吉「信長様、女相手に酒の勝負など……」
舞を気づかった秀吉が助け舟を出したが、信長があっさりとそれを遮った。
信長「小言は聞かん。舞はもう帰れ」
信長に帰宅を促され、舞は大人しく立ち上がった。
「美味しいお酒をご馳走していただいて、ありがとうございました」
信長「少々城がざわついている。一人にならぬように行け」
「気づかって頂いて光栄です。今夜はありがとうございました」
頭を下げた拍子によろけ、秀吉がふらつく体を支えてやった。
「申し訳ありません、秀吉様!」
不意の男性の腕に舞が初々しく反応すると、秀吉は悪かったと手を放した。
秀吉「行くぞ。ふらつくようなら俺の腕につかまれ」
「よろしくお願いします」
秀吉が腕を差し出すと、遠慮がちに手が回された。
信長「秀吉。途中で貴様の役を変わるという奴が出てくるだろう。
その時はその者に舞を任せろ」
秀吉「はっ」
いちいち疑問を挟んでは信長に煩わしい思いをさせるだけだと、秀吉は短く返事をした。