第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)
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信長様が何もしてこないことを良いことに油断しきっていた。
「今更になって夜伽の命が下るなんてどうしましょう」
(様子見というのは、私が妾に相応しいか見定めているという意味だったのかな)
文を何度読み返しても、違う意味があるだろうかと裏を探っても伽の誘いに間違いなかった。
「どうしたら……」
信長様は全然知らない方ではないし、無理やりなんてしてこない。と信じたい。
「どうか私を守ってください……」
迫る夕暮れを前に、箪笥にしまい込んでいた着物に願をかけた。
着付けが終わるのを待っていたように安土城から使いがやってきて、私は決死の面持ちで城に向かった。