第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)
「お互い気持ち良くなるだけで、どうなるわけでもありません。
だから抱いてくださいとお願いしています」
光秀「そうきたか。お前という女は…」
危うく可愛いと言いそうになって息を吐くと、舞は勘違いして『あきれないでください』と唇を尖らせた。
今夜で最後だというのに、情が湧かないように努めるのが難しい小娘だ。
「もう…はぁ…細かいことはいいですから抱いてください。
あなたのことも今夜のことも忘れますから」
媚薬の波がきたようで舞が身体をくねらせた。
光秀「悪いが抱くつもりはない。が、三成の真似事はやめて慰めてやる。それで我慢しろ」
「えっ、あ……あぁ」
尻の方から手を回して蜜口に触れると、そこは溶けきってピチャピチャと音を立てた。
光秀「俺に触れられるのがそんなに嬉しかったか?」
「や、そんなこと、ないで。ふっ、ぅ……!」
張り付いていた身体を剥がし、細い両肩を布団に押し付けて覆いかぶさると、舞の顔は真っ赤に染まっていた。
「光秀様………」
抱き締める背中が無くなり、心許なくなった手が俺の首の後ろに回された。
『これでいい?』とでも言うように自信なさげに回された手は、すぐに解けてしまいそうな軽さだ。
腫れた目元は赤く色づき、潤んだ瞳には熱情が燃えてひたすら誘いかけてくる。
光秀「生娘がよくも男を誘う術を持っていたな。どこで覚えた?」
唇は避けて顔に口づけを落としていくと、舞が大げさに身じろいだ。
「お店で……九兵衛様が……はっ、ん……!」
光秀「九兵衛?あいつは任務中に何を教えているんだ」
「っ、九兵衛様を怒らないでください。迫真の演技をしてくださったんですから」
光秀「例えば……?」
「ん、えっと、ん、ぁ、ちょ、光秀様、口づけのし過ぎです。
これじゃ、しゃべ、ん、はぁ…!」
唇を肌に押し付けて離れる行為は、部屋の空気を甘ったるく、濃くしていく。
光秀「まだ顔だけだろう。敏感だな」
「そ、れ…九兵衛様も…」
(また九兵衛か)
三成の名が出るのは仕方なかったが、家臣の名前を頻繁に出されては後れをとっているようでならない。