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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)


「ふっ、ふふ、物乞いをしていた頃に培った悪知恵です」

光秀「幼い頃は物乞いをしていたと調べにあがっていたが、まさかしてやられるとはな。
 だが悪知恵は持っていて不便はないだろう?」

「ええ」


俺を化かすほどの女。だが俺達は似ていながら舞は未だ白く綺麗な人間だ。


光秀「褒美をやりたいが抱くのはお断りだ。
 店主に無理やり囲われていたのだから、今度こそ日のあたる場所を行け」


(お前を他所にやるのは惜しいが、そうした方がいい)


俺の進む道に引き込めば、たちまち黒く染まってしまうだろう。お前は良いと言うだろうが俺が望まない。


「光秀様が……そうおっしゃるなら、そうします。
 ですがそれは今夜、光秀様が私を抱いてくださったらの話しです」

光秀「一時的な感情は捨てろ」


舞の純粋さに引き込まれそうになっている己のためにも戒めを口にした。
が、目の前の可愛い女はうんと頷いてくれなかった。


「食べ方は汚いし、失礼なことばっかり言うけど、なんでか、光秀様のことが温かいと感じるんです。
 私、光秀様がとっても好きです」


俺が温かいなどと安土の面々が聞いたら『違う』と一斉に正しただろうなと独り言(ご)ちた。

だが舞を想えばこそ、気持ちには答えられない。


光秀「接点がなくなれば、その気持ちもいずれ消える。
 俺とて小娘の惚れた腫れたに付き合うほど暇じゃない」


汗ばんだ額がグリグリと胸板に押し付けられた。


「今は、そんなこと良いんです。
 夜が明けたら光秀様は行ってしまうから…」

光秀「一夜限りの情交など、なんになる?」

「なんにもならないです」

光秀「それなら無意味だろう」


舞は喘ぐような呼吸を繰り返し、俺と目を合わせると企(たくら)みが成功したとでもいうように薄っすら笑った。

悪い顔も可愛い、そう思わせる蠱惑的な表情だった。


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