第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)
(後々までに残らなければ良いが)
九兵衛が灯しただろう行灯の火を消すと、部屋は月明りのみとなった。
細い月が照らす夜はそう明るくないが、濡れた肌を白く浮き上がらせるには十分だった。
「は、ぁっ!み、つなり、様ぁ」
明かりを消されて期待が高まったのだろう。三成を呼ぶ声が高くあがる。
(やはり俺がついていてやるべきだった)
「は、やく……た、すけ、てっ、は、ん」
幼気(いたいけ)な顔に官能の色はそぐわない。
最後の打ち合わせの時、頭を撫でてやっただけで小動物が威嚇するようだった。
何するんですかと言いながら、お前の頬が緩みそうだったのを知っている。
(巻き込んですまなかったな)
店主が舞に薬を盛らないように、数か月前から身請(みう)け金を渡していたのだが、最後の最後で詰めが甘かった。
苦しむ小娘の頬を撫で、三成になりきって言葉をかけた。
光秀「舞さん、今、楽にしてさしあげます。
今夜、あなたに触れることをお許しください」
舞は目を閉じながら必至という体(てい)で頷いた。
(舞が三成を求めているなら、せめて夢を見せてやろう)
三成の口調と仕草は、思い出さなくとも真似できる。
光秀「寝間着を少し緩ませますね。楽にしてください」
丸まっていた身体が緩み、寝間着の腰紐を解いて引き抜いた。緩んだ袷から誰にも晒したことのない、まっさらな肌が見える。
光秀「舞さん、綺麗です」
「あ、三成様、はや、く……!」
光秀「ええ、勿論です。私もあなたに触れたくてたまらない」
「ぅ、あん!」
舞の首筋に顔を埋めただけで、華奢な身体が跳ねる。
光秀「敏感なお身体ですね。さあ、気持ち良くなりましょう」
本来俺のような者が触れてはいけない清らかな身体に、指を這わせた…。