• テキストサイズ

☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)


九兵衛「舞さんが可愛すぎて止まらなくなりそうです」


九兵衛様は肘で身体を支えると、両手で私の頬を包んだ。

男の人にこんな風に言われたことはなくて、演技だとわかっていても胸が熱くなった。


九兵衛「本当にしてしまいましょうか」

「え…なにを?」

九兵衛「口づけです」

「そんな……ぁ」


心臓がバクバク鳴って、九兵衛様のわずかに開いた唇から目が離せない。


口づけを覚悟した――――その時だった。


裏口を乱暴に開ける音がして、私達はピタリと動きを止めた。


(光秀様が来たんだ!)


店主「な、なんだ?」


襖の向こうで狼狽えた店主の声がして、階下を伺っているような気配がした。


九兵衛「せっかくイイところでした主が来たようです。
 残念ですが、これで私たちの役目は終わりですね」


九兵衛様は素早く布団から出て、安心でぐったりしている私に布団を掛けてくれた。


九兵衛「仕事のためとはいえ申し訳ありませんでした」


九兵衛様がすまなそうな顔で濡れた耳を拭いてくれた。


「い、いえ。私こそ余裕が全然なくて…」


九兵衛様は『それは男冥利に尽きます』と嬉しそうに言い、次の瞬間には顔を引き締め、襖を蹴破って出ていった。


/ 1022ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp