第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)
覗かれたら演技がバレてしまう。咄嗟の判断で九兵衛様が使わないままになっていた掛布団を引き寄せた。
掛け布団がどこまで隠してくれるか気が気じゃない。
九兵衛「光秀様が来るまで直ぐです。
少しだけ我慢してくださいますか?」
我慢するも何も、今はこの人に任せるしかない。こくこくと頷くと九兵衛様は『可愛い人だ』と笑った。
九兵衛「君の肌は綺麗だね。ほら、こことかここも吸い付くようだ」
「あっ、ぁんっ」
九兵衛様は大胆に首や肩、二の腕に触ってくる。
さっきまでと触り方が違うと、羞恥の声を漏らしていると、『すみません』と声がして耳たぶをかじられた。
「あぁん!?や、ちょ、あぁ……!」
歯が離れたと思った次には、外耳に舌が入り込んできた。
ヌチュヌチュっといやらしい音がして恐怖を忘れて声をあげた。
「いや、ん、ぁあ……やぁ!」
内に響く水音に全身が熱くなり、布団の中にムッとした熱が籠った。
九兵衛「可愛い」
店主に聞かせるためじゃなく、私にだけ囁かれた声に余計に熱があがった。
九兵衛「気持ちいい?じゃあもっと……してあげるよ」
反対の耳たぶに口づけされて顔の向きを変えられた。
「や、こんなの、ダメ……ぁ、ああ……!」
今度は首筋を下から上に舐められた。
初めて味わう官能に震えが止まらない。恥ずかしいと思っても止まらず、舌が上下に動くたびにゾクゾクした感覚が襲ってくる。
(やだ……、演技なのに気持ちいい…)
店主が居なくなるまで愛撫は続くだろう。早くどこかに行って欲しいと余裕をなくしていると、九兵衛様が頬に口づけをくれた。
とても楽しんでいるように見えるのは気のせいか…。
九兵衛「私の首に両手を回してもらえますか?」
「はぁ、はぁ、え……」
九兵衛「こうです」
片手を取られて九兵衛様の首の後ろに持っていかれた。
最早演技なのか、演技じゃないのかわからず、言われた通りに両手を回すと、もう九兵衛様しか見えない。
これからどうするのか予想できず、ただひたすらに九兵衛様を見つめた。