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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)


客「おや、逃げようとしたのですか?困った娘さんですね」

店主「このまま上に連れて行きましょう」


手首を掴まれ、強引に2階に引っ張られていく。

半ばまで登ったところで座り込んでみたけど、そのまま手を引っ張られ、酷く痛んだ。


「い、痛いっ」

店主「痛ければ歩け」

「嫌ですっ」


ここはどうしても踏みとどまらなくてはと、階段に手をついて抵抗した。それでも引っ張られ続け、腕と肩がミシミシと痛んだ。


客「こんなに抵抗をみせるとは、舞殿はどなたか好いた男でも居るのですか?」


階段にへばりつくようにしている私の上で、男2人が会話している。


店主「いいえ、とんでもございません。
 昼も夜も仕事ばかりしている色気のない女ですよ」


ははっ、と馬鹿にしたように笑われて頭にきた。


「あなたがそうなるようにしたんじゃないっ!」

店主「どうにも娘の機嫌が悪くて困りますな」

「何が娘よ!このっ、人でなし!」


勝ち誇った顔で店主がにやけている。

私に不利な状況で何を言ってもこの男には届かない。


(悔しい……)


脳裏に浮かんだ人影を、首を振って追い払った。

こんな店で汚い仕事をしていた自分と、これから汚される自分と……あまりにも似合わない。


客「では遠慮なく貰い受けましょう。
 なに、一緒に居れば情が湧くものですよ、舞殿」

「っ、ひゃ」


後ろに居た男が、私を軽々と抱き上げた。

これでは床に這いつくばって抵抗するという手は使えない。


「いやっ」


脛が露わになってもかまわないと、足をバタバタさせて抵抗した。


客「そんなに抵抗するものではありませんよ」


男の腕に捕らわれたのを確認して、店主が手を離した。

身体を奪われようとしているのに、誰が大人しくしているのだろうか。誰だってこんな状況になったら抵抗するだろうに。

男は見た目の細さからは想像もできないくらい鍛えているようで、腕の中で暴れてもびくともしなかった。

梃子(てこ)でも動かないと決めていたのに、あっさりと2階の部屋に連れ込まれてしまった。

店主は『娘に逃げられないよう、つっかい棒をしておきますね』と言って去っていった。


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