第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)
「知りません」
光秀「その様子ではお前自身、毒されていないな?」
「よくわからないものを服用するほど馬鹿じゃありません」
何がおかしいのか明智様は一笑し、卓の上に頬杖をついた。
綺麗と表現するにふさわしい顔の線を無造作に手で隠し、斜めに私を見上げてくる。
見とれてはいけないと警戒していても、思わず引き寄せられてしまうなんて、この人は噂通り狐の化身なのかもしれない。
そんな馬鹿げたことを考えていた私を、明智様の言葉が現実に引き戻した。
光秀「凹凸のない身体が良い方向に作用しているのかもしれんが器量は悪くない。
お前の意思がどうであれ、そろそろといったところだろうな」
(また凹凸がないって言うし!失礼な人!)
人を不快にさせていると自覚しているのかしていないのか、視線は淡々としていて不快な気分にさせられる。
「何がそろそろなんです?さっきから相当失礼ですね。
何故女性達が光秀様に惚れるのかわかりません」
キッパリ言ってやると、明智様は少しだけ目を瞠っておかしそうに笑った。
光秀「それは俺もわからんな」
その時浮かべた表情はとても自然な感じがして、明智様の素を見られた気がした。