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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)


明智光秀にはくれぐれも気をつけろと何度も言われてきた。

後ろ暗いことをしている店主にしてみれば明智様は警戒すべき男のようだが、明智様自身、陰謀や裏切りの噂が絶えず、店主と同類の人間だろう。

何をそんなに恐れているのか不思議に思ったものだ。

顔色の悪い店主に『同類同士、親交を深めてみては?』と内心で皮肉っていたが、まさかその明智様が話しかけてくるとは…。


「お話とはなんでしょうか、明智様」

光秀「俺を知っているのか?」

「ええ、人づてに」


明智様はクッと喉で笑った。


光秀「人づてにどんな話を聞いたか興味深いが、今は時が惜しい。
 昼の仕事が終わったら隣の通りにある茶屋に来られるか?」

「っ、どのようなご用件でしょうか」


(茶屋の仕事を『昼の仕事』って言ったってことは、もしや…)


精一杯無表情を取り繕っていると、明智様は私の焦りなどお見通しとばかり嘲笑を浮かべた。


光秀「もちろん『夜の仕事』についてだ」

「っ」


(下手に何か言うのはまずい)


直感的にそう思い、だがこのまま黙っているわけにもいかなくて無難な言葉を探した。

その時……


店主「舞!」

「は、はーい!今行きます!」

光秀「では、茶屋で待っている」


明智様はお茶の代金を置いて、するりと通りに出て行ってしまった。


「ちょっと待ってください。行くって言ってないです!」

店主「おい、早くこれを運んでくれ」


追いかけようとしている私を店主が苛立ちまぎれに引き留めてきた。

お茶と大福がのった盆を差し出され、意識を一瞬逸らした隙に明智様の姿は見えなくなっていた。


「はぁ」


この店主は、愛想を振りまいて客を引き寄せろと言う割に、勝手気ままに無駄口を叩くな、働けと怒ってくる。


(やってらんないわ)


勝手なことを言う男達に嫌気がさした。


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