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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)


「では、これで失礼致します。ごゆっくりどうぞ」

姫「お仕事がんばってね」

「はい、ありがとうございます」


今日も昼の仕事は終われば夜の仕事が待っている。

ありがたい励ましの言葉が心に重く響いた。


(さ、仕事だ)


気持ちを切り替えて東側の席に足を向けた。


「お待たせしました。ご注文は?」


姫様と三成様が座っている席とは真逆の、ぐるりと回りこんだところに男性は座っていた。

日差しが強い時間帯とあって編み笠を深くかぶっている。


?「茶をひとつ」

「かしこまりました」


にぎわう茶屋の雰囲気とは一線をひいて静かな空気を纏っている。


(この方、どちらかというと夜のお客様みたい)


お茶を淹れて店の出入り口を出ると、姫様と三成様が帰るところだった。

手をつないで歩いていく後ろ姿を微笑ましく見送り、男のもとにお茶を運んだ。


「お待たせしました」


男はお茶を受け取ると美しい所作で口に運び『少しいいか?』と聞いてきた。


「…何か?」

男「お前と話がしたい」


看板娘をしていると、初対面の男に馴れ馴れしく話しかけられることは珍しくない。

仕事が終わったら逢瀬に行かないかとか、今度の休みはいつなのか?今度贈り物をしたいから欲しいものはないか。など。

でもこの男の場合は、そういった軟派な話ではない気がした。

店主に怒られると断ろうとしたが、運悪く店の奥に引っ込んで姿が見えない。


(こんな時にどこに行ったのよ)


余計な時にはうろついているくせに肝心な時に居ない。

仕方なく頷くと男は少しだけ顔を上げ、傘に隠れていた顔が露わになった。


(明智光秀様!?)


仕事ばかりしている私でも知っている有名なお人だ。色気漂う良い男ぶりで、店の前を明智様が通っただけで女性客が色めき立つ。

何より店主が顔色を変えるほどに、非常に恐れていた。


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