第28章 狐の化かし合い(光秀さん)(R-18)
昼は茶屋の看板娘として、夜は男女の案内係として日々が過ぎていく。
茶屋の秘密を抱えて淡々と過ごす中、ひとつだけ楽しみがあった。
「お待たせしました。お茶と大福をお持ちしました」
三成「ありがとうございます」
三成様がお皿を受け取り、隣に座っている可愛らしい女性に手渡した。
姫「これが噂の大福なんですね。やっとお目にかかれましたっ!」
「何度も足を運んでいただいてすみませんでした」
三成様と恋仲の姫様は大福目当てに何度も来店してくださっていた。
ところが来店時間が昼過ぎということもあり、売り切れた大福の代わりにあんみつを食べて帰ることが続いていた。
姫様がいただきますと言って早速大福を頬張った。
姫「う……」
「ひ、姫様?」
(まさか喉に詰まらせた!?)
姫様が目を大きく開けて動きを止めたものだから焦っていると、紅を塗った小さな口がせわしなく動いた。
小さな喉がゴクンと動き、姫様の顔は幸せに満ち足りていた。