第27章 魔女の薬(謙信様ルート)(R-18)
(このオタク的な反応を、どう伝えたら良いんだろう。
というか謙信様が私を好きだったって…本当に?)
謙信「怯えている舞にどうこうしようとは思っていなかったが、あの夜、思いがけずに俺の腕の中に飛び込んできた。
この機を逃せば次は無いと、お前の身体に俺を刻み付け、あわよくば孕ませて俺のモノにしようと企んだのだ。
例え薬に冒されようと、お前以外の女ならば断わっていた。
助けに来たのが舞だったから、俺はこの腕で抱き、愛を囁き、種を落とした」
「え……えぇ……?」
もうどこを訂正して、どこを質問してツッコんだら良いのかわからない。
理解できたのは、謙信様が私を好きと言ったのは、空耳とか冗談ではないということだけだった。
謙信「一夜限りにしたのはお前に考えがあってのことだろうが、俺には到底できそうにもなかった。
会えば好きだと囁き、口づけを求め、身体に触れてしまうだろうと故意に避けたが、それも辛かった。
同じ城に愛しい女を住まわせて会いに行けないのは、殊更辛かった」
(愛しい女って、私のこと……?
会えなくて辛かった…?)
ジワジワと胸に幸せが広がっていく。
「私はてっきり、謙信様が好きでもない女を抱いて後悔しているものとばかり思っていました。
だから私を避けて、お酒の席にも呼んでくれないんだろうって…」
謙信「後悔などひとつもしていない。
酒宴に関しては除け者にしているようで心苦しかったが、孕んでいるのに気づかず酒を飲んでは良くないと思ったのだ」
「っ、そういうことだったんですね。
そっか……私、謙信様に、も……必要ないって……思われてるのかと……」
役目を果たした=もう必要ない
そんな気がして、お城に居る価値が自分には無くなったように思えた。
もしかしたら謙信様には、『そのうち余計なことを吹聴して歩くかもしれない厄介者』と思われているかもしれないと、それも恐れていた。
ずっと胸の奥にあった不安が涙になって流れ出し、謙信様を驚かせた。