第27章 魔女の薬(謙信様ルート)(R-18)
謙信「誰が城を出て良いと言った?
俺が出さんと言ったら、出さん。城に戻るぞ」
「城に戻ってもやることはありません。実家に帰らせていただきます!」
謙信「っ………この身体でどこに行くつもりだっ!」
静かな山あいに謙信様の声が響き渡り、驚いた小鳥たちが羽ばたいていった。
「この身体って……え?
足を怪我したくらいで大げさですよ」
まるで重病人のような言い方に首を傾げた。
謙信「足の怪我の前に、お前は……」
「足の怪我の前になんですか?」
思い詰めた表情に、謙信様が何か大きな勘違いをしている気がした。
「足の怪我以外は健康ですけど、何か問題でも?」
安心させるつもりで言ったのに、謙信様は信じられないとでも言うように顔をしかめた。
(うぅ、軽蔑視線が痛い……私、何かしたかな?)
お互い『はっ?』みたいな顔で見つめ合う。
謙信「お前はっ……、自分の身体のこともわからないのか!」
「身体のことって…なんのことですか?
少しお腹が痛いだけで元気ですけど?」
一方的に叱りつけられて訳が分からない。
口を尖らせて反論したけれど、倍になって返ってくる。
謙信「腹が痛いだと!?こんな所まで歩くからだ!
大丈夫か、しっかりしろ…」
私の返答にうるさいくらい反応して、謙信様はオロオロし始めた。
お腹をさすろうとしてきたので、流石に遠慮してもらった。
「ちょっとどうしたんですか、謙信様。
少し落ち着きましょう、隣に座ってください」
切り株の椅子を半分空けて座ってもらうと、謙信様は髪に手を突っ込んで落ち込んでいる。
(……超クールで、カリスマ感バシバシの謙信様はどこにいったんだろう…)
平時の姿はなく、私がドン引きするくらい怒り狂い、慌て、大混乱している。
はっきり言うと面白かったりもするのだけれど、放っておくわけにもいかない。