第27章 魔女の薬(謙信様ルート)(R-18)
「ふ……ふふっ、そうですね。自分でもびっくり…です」
過激だし、気分屋で、私を見る時の目は冷ややかで、謙信様に安らぎを感じたことはなかったのに、今は至福ともいえる安心を感じている。
(今夜は優しく受け止めてくれているけど、明日になれば元通り…か)
ふとそんなことを考えたら、今がとても貴重な時に思えた。
「謙信様。薬で身体が変なんです。だから……」
謙信「だから、なんだ?」
低い声は掠れて甘さを滲ませている。
でも明日には……抑揚のない静かな口調に戻るだろう。
「だから抱いて欲しいです。治るまで」
頭がぼうっとして、恥ずかしいことも難なく口にできた。
(治るまで、夜が明けるまで)
(好きじゃない、好きじゃなかった。憧れていただけ、でしょ?)
割り切れなくなりそうな気持をしっかりと戒めて、一時の情交を求める。
謙信「ああ、お前が望むなら。
せっかく媚薬を避けられたと安堵していたが、結局身体に入れてしまったな。
……すまなかった」
「私もよく考えずに受け入れていたので、どっちが悪いとかナシです」
謙信「寛容な女だ…。無理やり出されたことは怒らないのか?
俺は舞が怒るとわかっていながら……我慢ができなかった」
あの謙信様が眉を下げて反省している。
しかも私の反応を恐れるように何度も頭を撫でてくるものだから、さっきまでの獰猛さはどこへ行ったのかと可笑しくなった。
「それは……」
本音を言いそうになって『なんてことないフリをするんでしょ』と、もう一人の自分が警告した。
明日以降に何か持ち越すことなく、自分も謙信様も元の関係に戻るんだ。
本心から好き合っているんじゃなくて薬のせいなんだから。