第27章 魔女の薬(謙信様ルート)(R-18)
「さっきも言いましたが薬を抜くための緊急治療だと思ってください。
気持ちが有るとか無いとか、私のことが嫌いでも…今は丸投げしてくださいませんか?
明日になったら今夜のことは忘れれば良いんです。それだけのことです」
謙信「い、やだ」
繰り返された拒否の言葉が胸に刺さり、ツキンとした痛みが走った。
(身分ある人が、ただの居候女に助けを求めるわけない、か)
「わかりました。出過ぎたことを言って申し訳ありません。忘れてください。
隣から水を持ってきますのでお待ちくださいね」
平気な顔で言葉を発する間も、胸はツキンツキンと鋭く痛んだ。
謙信様には一種の憧れのようなものを持っていたから、その人に拒否されて思いのほか凹んだ。
謙信「そうじゃない。っ、頭が回らん…」
立ち上がった私の手を掴もうと、謙信様が呻きながら起き上がった。
なんとか座る姿勢をとっているけれど、ぐらついて今にも倒れそうだった。
「謙信様!?駄目です、急に起き上がってはお身体に触ります!」
謙信「俺の身体など、どうでもいい!」
(どうしよう、凄く興奮しているみたい)
謙信様をなだめるために腰をおろした。
背中をさすってあげると寝間着は汗を吸って驚くほど湿っている。
「謙信様の存在を大事に思っている人が沢山いるんですから、どうでもいいなんて言っちゃいけませんよ。
気を鎮めてください。ね?」
謙信「違う、俺が嫌だと言ったのは…」
「それはわかりましたから言わないでください」
拒絶の言葉は一度聞けば充分だ。