第27章 魔女の薬(謙信様ルート)(R-18)
「謙信様っ!」
褥で横たわっている謙信様に走り寄ると、暗がりに枕元に置かれていた水差しが倒れ、畳と布団を濡らしているのが見えた。
「謙信様、ごめんなさい…。
ずっと聞こえていたのに……」
謙信様はぐったりした状態で横向きに寝ている。
(意識は……意識はあるのかな)
「大丈夫ですか?汗が酷いので拭きますね」
声かけに反応はあったけれど、息も表情も苦しそうで会話できる状態じゃなかった。
手にしていた手ぬぐいで、少し強引に汗を拭いていく。
優しく拭けばきっと過敏な神経は快楽を拾うだろうと、ゴシゴシと荒っぽく拭いた。
襖越しに聞いていた時よりも呼吸が苦しそうで、手に触れた体は熱かった。
謙信「く、るな……と、はぁ……」
私を払いのける手は緩慢で、狙いを外して宙を泳いでいる。
容易に捕まえられたそれは、いつもの力強さが無い。
「謙信様っ……、ごめんな、さい……」
汗ばんだ大きな手を両手で握り締めると微かに震えている。
こんなに酷い状態を放った自分に後悔した。
「こんなに苦しんでいるのに、保身のために聞こえないふりをして、ごめんなさい。ごめんなさい………っ!」
涙声で謝っていると、謙信様の瞼がわずかに持ち上がった。
謙信「女が貞節を守って……何が悪い」
私が言ったことを否定するように、謙信様は力なく首を振った。
弱々しい仕草は、今にも謙信様が死んでしまいそうだ。
「謙信様……欲を吐き出しましょう。このまま薬を体内に入れたままにしておくのは危険です。私がお手伝いしますからっ」
謙信「何を…言って…っ、う」
謙信様は身体を動かしたわずかな刺激で呻いた。
(水を飲んで解毒なんて悠長なことは言っていられない)
こんなにも強烈な症状を放置したら、謙信様がどうにかなってしまう。