第26章 魔女の薬(共通ルート)
(謙信様……)
謙信様の手伝いにきておきながら、中座しなくてはいけない無念が胸に広がった。
グズグズしていると謙信様がスルリと頬を撫でた。
鋭い眼差しには早く立ち去らない苛立ちよりも、労いの色が浮かんでいる。
謙信「そう寂しそうな顔をするな。俺も少ししたら行こう」
切なさが滲んだ声。
恋仲の演技に飲まれそうになった。
「っ、謙信様が居ないと私は寂しくて眠れません。
早く……早く来てくださいね」
演技に本音を混ぜると、謙信様は口の端に笑みを湛え、緩やかに頷いた。
失礼のないよう新しい当主に中座の挨拶をしていると、好機とばかりに女達が腰を浮かせていた。
(女嫌いなのに、大丈夫かな……)
広間の襖が締まる寸前まで謙信様が心配で仕方がなかった。
兼続「……心配ない。行くぞ」
手を引いてくれる兼続さんの手が……熱かった。