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☆姫の想い、彼の心☆ <イケメン戦国>

第26章 魔女の薬(共通ルート)


(わざわざ連れて来たのに早々に追い払うくらいには、不快に思われたんだろうな)


反省しきっていると謙信様の秀麗な眉がわずかに寄った。


(すぐに動かないから怒っている?)


城では謙信様が言葉を発すれば、家臣の人達は疑問を挟むことなくすぐに動く。

質問ばかりして動かない私に無礼を感じているのかもしれない。


(う…普通にしていても怖いのに、眉が寄るともっと怖い)


言われた通りにするしかないと、お酌のために持っていた徳利を置き、中座の準備に入った。

ところが謙信様は手慣れた仕草で身体を寄せてくると、私の肩に手を回した。


謙信「待て」


(ひえっ!?女嫌いの謙信様が肩に手を……っ!?)


急に演技タイムに突入し、それならそうと前触れを出して欲しかったと、身体だけでなく心臓までも縮めて固まった。


謙信「役不足などと、そのように言うな」


謙信様は宴会場をぐるりと見回して言った。

こちらを伺っていた男性達は目を逸らし、女性達は頬を染めた。


謙信「余計な男達の視線を集めているのは気に食わないが、舞の麗しさに女達は及び腰だ。充分事足りている」

「余計な視線?皆謙信様とお近づきになりたいって視線が熱いですもんね。
 事足りているのなら良いのですが……」


せっかく『麗しい』と褒められたのに、肩に神経がいってしまい聞き流してしまった。

恋仲のふりをするにしても突然の密着に心臓がうるさい。


(恋人の演技しなきゃ)


ときめいている場合じゃないと謙信様の肩に『えい!』と頭を預けた。

信玄様や幸村と一緒に居ると線が細く見える人だけど、肩はがっしりとしていて腕の力もしっかりしていた。


謙信「……」


(な、なんで黙っちゃうのよ)


こっちは演技に合わせたのに無言になられては立つ瀬がない。


(まあでも……ちょっと安心するかも…)


寄っかかってもびくともしない逞しさに、図らずも安堵を覚えていた。


(今まで謙信様に感じたことのない包容力を感じる…)


思考がおかしな方へいきそうになったところで、目の前にパラと扇子が広げられた。


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