第25章 耳掃除をしよう(安土勢)
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「さーてと、仕事も終わったし、ん?」
厨に居るだろう政宗の手伝いをしに行こうかと歩いていたところ、蘭丸君が走ってきた。
蘭丸「いたいた☆舞様を探してたんだ!」
「なぁに?もしかして蘭丸君も耳掃除してほしいの?」
蘭丸君の大きな目がキランと光った。
いつ見ても目が輝いているけど、今日は五割り増しだ。
蘭丸「そうなんだ!女中の皆が話しているのを聞いてさ、早く舞様のところに行きたいと思っていたんだけど遅くなっちゃった。
舞様が暇な時で良いからお願いしても良いかな?」
三成君も言っていたけど、本当に耳掃除の噂は城中に広まっているようだ。
(まだ明るいし、今からでもできそう)
「今なら手があいてるよ♪」
蘭丸「本当?じゃあ、お願い!」
最近耳掃除を頼まれることが多かったので、持ち歩くようになっていた耳かきを袂から取り出した。
シンプルな竹の棒に、蘭丸君が『え、これ?』という顔をしている。
「そこの空き部屋を借りてやろう。
あと半刻もすれば日が傾いてくるから耳の中が見えなくなっちゃうの。急ごう」
蘭丸「うん」
襖を閉め、障子戸の近くに座って蘭丸君を誘う。
蘭丸君は女中さんから膝枕のことを聞いていたらしく、すんなりと『お邪魔しまーす☆』と寝転んでくれた。
(うわ~、顔小さい!首細い!髪キレイ!)
政宗じゃないけど、いつもと違う角度で見ると、改めて魅力に気付くというか…。
蘭丸君の完璧な造形に感動してしまった。
「蘭丸君って、本当、綺麗だね」
横向きに寝ていた蘭丸君がコロンと仰向けになった。口が少し尖っている。