第25章 耳掃除をしよう(安土勢)
「そう?えへへ、ありがとう、三成君」
政宗「おい、三成。先に感想を言う奴がいるか!
まあ、悪くない」
「悪くないって何よ。
なんか文句あるんだったら降りてくれても良いですよ~?」
膝を動かして頭がぐらぐらと揺らしてやると、不満げな声があがった。
政宗「褒めてんじゃねえか」
「悪くないっていうのは褒め言葉じゃないです」
形のいい耳たぶを引っ張ってやった。
こんなところまで良い形しているなんて、政宗はズルい。
耳かきを静かに差し入れ、ひと擦りすると、膝に乗っていた政宗の手がピクンと動いた。
(政宗も秀吉さんと同じで手を握りしめて耐えるタイプ?)
そういえば安土の皆はそれぞれ反応が違ったなと考えながら掃除していると、私の着物に政宗の爪がかすかにあたった。
私は膝を折って座っているから着物の生地はぴんと張っている。
掴もうとしても掴めない場所に政宗の手が乗せられていて、手を握る度にそこに爪がかすっているようだった。
(あ、あの政宗が密かに快感を耐えているなんて…!)
政宗の耐える姿なんてレアだ。激レアだ!
心の中で悶えながら片耳を終わらせ、寝返ってもらった。
こちらを向いた政宗は余裕が少し失せていて、でも妙に艶めかしい眼差しでこちらを見てくる。
「な、なによ。あんまり見ないでくれる?」
政宗「いや、この角度から見るお前も良いなと思っていただけだ」
「うん?やだな、二重顎に見えるかもしれないから、あんまり見ないでよ」
素っ気ない返事をしつつ『も、てことは、いつもの角度でも良いなって思ってるのかな』なんて心が騒がしかった。
「やりにくいから目を閉じてね」
政宗の真っ直ぐな髪を撫でてあげると、心地よさそうに目を閉じてくれた。
一瞬照月を思い出して吹き出しそうになった。