第25章 耳掃除をしよう(安土勢)
秀吉「……」
家康「人たらしの秀吉さんをさりげなく躱すなんて、舞って、その気になれば店の客引きとか才能あるかもね」
「なんのこと?さ、秀吉さん、ようこそ♪」
膝に乗った頭を家康にしたように撫でてあげてから耳かきの棒を持った。
何故か部屋の中に緊張感が漂う中、少し厚めの耳たぶをそっと掴んで耳かきを差し入れた。
秀吉「…………」
(あれ、反応なし?珍しいな)
あちこちをカリカリしても秀吉さんは静かで、反応がない。
(もしかしたら秒で寝ちゃったとか?)
つまんないと、ふと秀吉さんの体を見れば、不自然なほど手を握りしめている。
耳かきを止めると手は緩み、カリカリと内側を引っ搔けば力が入る。
(ふふ、秀吉さんったら素直じゃないんだから)
家康は秀吉さんの無反応に首をかしげていて、私は秀吉さんの些細な反応を見て楽しんだ。
「はい、おしまい♪」
秀吉「……ありがとな」
「気持ち良かった?」
身体を起こした秀吉さんも、家康とおんなじで色気を漂わせている。
耳の中を暴かれたのを恥じらうような表情も、女心をくすぐられる。
秀吉「ん?あ、あぁ、なかなかまあまあだ」
「二人とも点数が辛口だね。
また掃除して欲しかったら遠慮なく言ってね」
秀吉さんと家康はうんとも、ううんとも言わずに帰っていった。