第24章 戦国時代の付き合い方(慶次)(R18)
そうして月日は流れ、また慶次が戦に向かう日がやってきた。
同行をお願いしたけど、信長様がうんと言ってくれず、留守番になってしまった。
今回は大きな戦で、信長様も向かうことになっていて留守番は光秀さんが勤めることになっていた。
「慶次、いってらっしゃい。無事に帰って来てね」
兵に声をかけて歩いていた慶次の顔から、笑顔が消えた。
慶次「舞、お前……」
「ちゃんと…帰ってきてね」
泣かないと決めていたのに心配で心配で涙が止まらなかった。
私がしゃくりあげる度に簪の花が揺れる。
慶次「戦に行く前に挿す奴がいるかよ」
そう言いつつ、泣いている私を慰めようと抱きしめてくれた。
この腕がもうすぐ離れていってしまうと思うと、胸が張り裂けそうだった。
戦に行くと決まってから『行かないで』と何度言いそうになったことか。
でもそれは針子の私に針を持つなと言うのと同じことだからと、口に出さずに堪えてきた。
「ぐす……褒美がわかってれば、ヒック、頑張れるでしょう?」
慶次の着物にごしごし涙をこすりつけていると似生みたいなことをするなと笑われた。
慶次「それもそうだな。すぐ帰ってくるから、似生のこと頼むぞ。
あいつは俺がいねえと食が細くなるからな」
「うん、一緒にご飯食べて待ってる。
早く帰ってこないとブタみたいに太っちゃうんだからね」
慶次「……ブタに失礼なこと言うなよ」
「そこは私の体形の心配をしてほしかった、って、わぁっ!?」
慶次の手がわきの下に差し込まれ、ヒョイと持ち上げられた。
ぐんとあがった視界に、こちらを見ている武将達と兵士達が……
(めっちゃ見られてるじゃん!)
あせって下を見れば、慶次がカラッと笑っている。