第24章 戦国時代の付き合い方(慶次)(R18)
慶次「どうだ、止まったか?」
「と、とまった、みたい。びっくりしすぎて…」
慶次「そりゃあ、良かった。
ついでに俺も褒美を貰えたから僥倖(ぎょうこう)ってもんだ」
慶次はにやりと笑って、私の頭を撫でた。
「貰えたって、もぎとったの間違いじゃないの?」
慶次「どうやら俺の好きな女は奥手で初心みたいだからな。
強引に貰いにいかねえと、な?」
強引な言い方だけど、私が本気で嫌がっていないか観察している。
(嫌じゃなかったよって言えたら良いのに)
恥じらって小さくなっていると、慶次は愉しむように私を見つめてくる。
いつになく優しく目を細められて胸が甘くときめいた。
「な、何か顔についてる?」
慶次「いいや?この純な女を、どうやって口説き落とそうか考えてただけだ」
「あ、駄目、無理。口説かれたことないから、すぐ落ちちゃう」
慶次「お前なぁ、恋の駆け引きって言葉を知らないのかよ。
自分の手の打ちを教えてどうすんだ」
慶次は呆れたように笑った。
両腕が動き、ゆっくりと、私を驚かせないように背中に回してくる。
控えめな力で抱きしめてくれる優しさに、ほっと力が抜けた。
慶次「急ぐ必要はない。ゆっくりと、そうだな。
明日、逢瀬にでも出かけるか?」
「行く!」
慶次「逢瀬には乗り気なんだな。これは……しまっとけ。
舞が俺でいいと思ったら挿せよ」
ずっと握りしめていた簪を抜き取られて、着物の袂(たもと)に入れられた。
「いいの?」
慶次「お前はどんだけ俺をがっついた男だと思ってんだよ。
好いた女が心を決めるのを待つくらい、できるぜ?」
そう言って小さく笑う慶次は、凄く大人の男の人に見えた。