第24章 戦国時代の付き合い方(慶次)(R18)
秀吉「これはちゃんと持ってろ。まず少し落ち着け、茶でも飲むか?」
「今飲んだら吐きそう」
秀吉「吐きそうって、そんなに追い詰められてんのか。
かわいそうに」
大きな手でよしよししながら、秀吉さんは廊下に向かって鋭く言い放った。
秀吉「おい、慶次!いつまでそこで聞いてるつもりだ!
舞をこれ以上泣かせるようならただじゃおかねえぞ」
「え、慶次!?慶次が居るのっ!?」
心臓がドクンと音をたてて縮みあがり、いよいよ気持ち悪くなってきた。
秀吉「大分前から気配はしていたんだ。
悪いな、舞のありのままの気持ちを聞かせた方が良いかと思って黙ってた」
秀吉さんはすまなさそうにしているけど、私はそれどころじゃなくて襖が開いた方とは逆の出入り口から廊下に出た。
(やだやだ!まだ気持ちの整理がついてないのに、会えない!)
ずるずると重たい晴れ着を引きずりながら闇雲に廊下を走った。
宴が開かれているので、廊下ですれ違う人は居ない。
人がたくさん居る厨に逃げ込もうと走っていると、
慶次「案外足が速いんだな」
「え、ひゃっ!?」
(捕まっちゃった!)
後ろから回った腕に掴まり、私は足をバタバタさせて抵抗した。
慶次「おいおい、そんなに暴れるな」
「や、やだ!離して」
慶次「俺が素直に離すと思ってんのか?」
慶次は軽々と私を担いで歩き出した。方角からすると慶次の部屋に向かうようだ。
(面と向かって話をする決心もないのに……)
でもこの人の腕から逃げられそうにない。
私は観念して体の力を抜いたのだった。