第24章 戦国時代の付き合い方(慶次)(R18)
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それからというもの私の挙動は不審を極めた。
同じ花瓶の水を一日に何度変えて女中さんに驚かれ、廊下の雑巾がけをやりすぎて滑って転ぶ人が続出した。
お箸で何も掴んでいないのに口に運び、空振りする口。
見かねた秀吉さんが三成君にする時のように、食べ物を口に運ぶという事態になった。
信長「貴様、最近どうした?」
光秀「忍びであろうとあの廊下は滑って転ぶぞ、一体どうした」
「……はい。はぁ……」
信長・光秀「「………」」
もう何を言われてもぼーっとして、簪のことしか考えていなかった。
あれは本気なのか遊びなのか、答えが出ない。
針子仲間に相談したら髪を乱したいと言われたなら厄除けがわりにくれたのではなく、そっちの意味だと断言された。
告白とエッチのお誘いが同時なのはそう珍しくないそうで、『好き・もしくは良いかなと思える相手なら挿して出迎える』のが一般的らしい。
いつ命を落とすかわからない戦国時代だから、この人いい!と思ったら即行動のようだ。
デートの約束をして、何回かお出かけして、手を握って…なんていう甘酸っぱい各駅停車の恋ではなく、告白と肉体関係が同時の、新幹線並みの速さで関係が進んでいく、らしい。
(いやいや、告白とエッチが同時って、ちょっと無理)
それでも良いっていう人も居るけど、私はそこまでしてしまったら『あ、やっぱり合わなかった、バイバイ』と割り切れる人間じゃない。
秀吉「……っ!……っ!舞!」
「ふえ?な、何、秀吉さん」
政宗「おいおい、あんなに秀吉が声を張り上げないと気づかねえのか。
本当に大丈夫か、舞」
大広間に集まって食事をしていた一同、こちらを注目している。
「あ、大丈夫、です」
秀吉「慶次と家康が戦を治めて3日後に帰城するという知らせがきた」
秀吉さんは口には出さなかったけど、慶次とのことを『大丈夫か』と案じてくれている。
迷いに迷って、何も答えが出ていない私はヘニャっとした笑いを返すことしかできなかった。