第24章 戦国時代の付き合い方(慶次)(R18)
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それから半月ほどが経ち、国境で諍いが起きていると、慶次と家康が向かうことになった。
急遽出立が決まったため、当日の朝になっても準備が整っておらず、城門の外に見送りに出ても、あちこちで調整と確認の掛け声があがっていた。
「凄く慌ただしい雰囲気だね。大丈夫かな」
三成「少々準備の時間が足りませんでしたが、大体整ったようです。
後は進軍しながら調整すれば問題ありません」
秀吉「ところで慶次はまだなのか?
まさかまだ寝てるってことはないだろうな」
「まさか。慶次に限ってそんなことないんじゃない?」
多少ルーズなところがあっても、出立に遅れて皆に迷惑をかける人じゃない。
最近一緒に居ることが多かったので、慶次のことが少しわかるようになっていた。
秀吉さんはきょろきょろとあたりを見回し、慶次を探している。
秀吉「いいや、あいつは時々いい加減だからな」
「そうかなぁ」
三成「いらっしゃったようですよ」
見ればこちらに走ってくる長身の人影があって、派手な色の着物だから遠目にも慶次とわかった。
走る姿はすらりとしていて格好良く、小さく見えていた人影がは、あっという間に近くにやってきた。
個性的な戦装束が、鍛えた体と長い足を色鮮やかに覆っている。
(慶次の戦装束ってこんな感じなのか…)
朱色の槍の柄を持ち、体中から漲る気が彼の体を包んでいる。
でも慶次らしいおおらかさは消えていない。
これから戦場に向かう凛々しい姿に目を奪われた。
慶次「悪い、遅れちまったな」
秀吉「馬鹿野郎。早く確認事項を済ませて出発しろ!」
慶次「そう、怒るなよ。あまりキャンキャンしてると信長様に捨てられるぞ」
片耳に指をつっこんで『うるせー』とやる仕草が、この間の政宗の姿と重なって吹き出してしまった。