第24章 戦国時代の付き合い方(慶次)(R18)
「慶次が誕生日だなんて聞いてないよ~~」
政宗「なんか手違いでもあったんだろ」
政宗は鮮やかな手つきで大根を千切りにしている。きっと酢の物でも作るのだろう。
その隣で私は無言でゴボウの皮をむきながら考えていた。
(誕生日を迎える皆にはプレゼントを贈ることにしているのに、今日の今日じゃとてもじゃないけど用意できない)
どうしよう、どうしようと考え、煮詰まらないで済んでいるのはゴボウの皮むきのおかげだ。
これから仕事だしと考え、はっと思いついた。
(よし、早く針子部屋に行こう!)
マックスで手を動かし、驚く政宗を置いて仕事に向かった。
午前中は化粧をしていた私がすっぴんになって戻ってきたものだから、針子仲間たちに笑われてしまったけど、事情を話すと良い布を出してきてくれた。
今日の分の仕事を急いで終わらせ、後はその布を使って風呂敷を作った。
手ぬぐいは売るほどあるって言ってたし、この時代では使用頻度の高いものと言えば風呂敷だ。
糸が出てこないように縁を縫いながら、今日のことを思い出していた。
あのパイ投げのような拭き方はブタの似生を拭く時のクセみたいなものかな。
ごしごし拭かれたけど痛くなかったなと、気づけば口元に笑みが浮かんでいた。
縁を縫いあげて目立たない糸で今度は刺繡だ。
今日わかった慶次の意地悪っぽい性格を思い出しながら、お礼と皮肉をこめて手を動かす。
素敵な柄の風呂敷に隠れた目立たない刺繍。
黒い笑いを口元に湛える私を、針子仲間が遠巻きに見ていた。