第24章 戦国時代の付き合い方(慶次)(R18)
打ち解けてくれたとしたら嬉しいけど、個性豊かな安土の面々にさらに手強い人が増えてしまったことになる。
(戦国ライフに平穏の文字はないね、佐助君)
越後にいる現代人仲間に、こっそり同意を求めた。
「な、なによ、政宗のせいなんだから!」
慶次「皮をむくように言ったのは政宗だろうが、ゴボウの汁をつけながら皮をむいたのは舞だろ」
「う……」
それに関しては図星すぎて何も言えない。
慶次「まあ、あれだ、真っ黒になってるお前もなかなかだ。
似生を思い出したがな」
今日の慶次は意地悪だけど、優しいのは変わりなくて落ち込んだ私を微妙に慰めてくれた。
「飼いブタと同列にされて可愛いって言われてもなあ…」
慶次「今頃似生が泣いてるかもなっ」
「そっち!?こっちが泣きそうだよ!」
慶次「ブタに失礼だぞ」
「そっちが失礼だよ!」
政宗「あ?まだ居たのか?舞、まだゴボウの皮むいてないのかよ。
さっさとやんねーと、今夜の宴までに味が染みないだろうが」
ぎゃーぎゃー言い合っているところに政宗が帰って来て、容赦なく怒られた。
「だって慶次がブタと一緒にするんだもん!」
政宗「ブタは良いから皮をむけ、皮を!」
「もう!何よ!大体、今夜宴があるって聞いてないんですけど!」
文句を言いながらゴボウの皮むきにかかると、政宗がたすき掛けをする動きを止めて私を見た。
政宗「は?聞いてないのか?今夜は慶次の誕生祝いの宴だぞ?」
「ふーん……え?」
(誕生祝いって、慶次の誕生日なの!?)
慶次を見れば、にやりと笑みを返された。
慶次「ということだ。せいぜい美味いゴボウを一丁頼むぜ、舞」
そう言って暖簾をくぐって行ってしまい、そこで気が付いた私は急いで声を掛けた。
「待って、その手ぬぐい!洗って返すから置いていって!」
慶次「いいってことよ。売るほどあるって言ったろ」
声だけがして、足音が遠ざかっていった。