第24章 戦国時代の付き合い方(慶次)(R18)
慶次「そんなこと気にすんなって。汚れたものを拭かなくて何を拭くってんだよ」
「そ、そうだけど…」
慶次「手ぬぐいなんか売るほどある。良いから早く拭けよ」
こんな素敵な手ぬぐいが売るほどあるのかと感心しながら唇を拭いたけれど、まだついていると言われて再度拭き直した。
(慶次って知ってたけど、こんなことにまで付き合ってくれて面倒見が良いなぁ)
たいていの男性なら手ぬぐいを貸してくれたとしても『鏡見ながら拭けよ』で終わるだろうに。
「どう、とれた?」
慶次「お前な、どこ拭いてんだ。ここだ」
「え、どこ?」
慶次「馬鹿、逆だ」
「あ、わかった、この辺?」
慶次の眉間にくっと皺が寄った。
慶次「面倒だ、貸せ」
「え、ぶっ」
顔の下半分を手ぬぐいでごしごし拭かれた後、顔を覗き込まれた。
(わぁぁ!?ちかすぎる!!)
華やかな顔立ちをしている慶次の、まつ毛の1本1本が見えそうな距離で、しかも唇を凝視されては意識するなという方が無理だ。
顔がぶわっと熱くなった。
慶次「よしっと、まーったく、せっかく可愛い顔してんだから綺麗にしとけよ」
「か、か……(可愛い!?)」
慶次「なに顔を真っ赤にしてカラスの真似してんだ?
それとも茹でタコか?」
「顔近いし!急に可愛いなんて言うからびっくりしてるんじゃない」
(あれ、慶次って、こんな感じで意地悪だったっけ?)
何かいつもと雰囲気が違う。
慶次「まあ、安土の武将にネコ可愛がりするだけあるよな。
顔を真っ黒にしてゴボウの皮をむくお姫さんは、そんじょそこらには居ねえよな」
(可愛いって、素直に可愛いって言ったんじゃないんだ!)
どことなく意地悪で皮肉めいた感じのする慶次は初めてで、もしかしたら今まで見たことなかったけど、男同士とか、内輪にはこんな感じなのかもしれない。