第24章 戦国時代の付き合い方(慶次)(R18)
慶次「おっと、ここはダメか。後で自分で拭けよ」
「もう大丈夫だよ」
慶次「そうでもないぜ?そのままだと針子達に笑われるのがオチだ。
鏡はないし大人しく拭かれてろよ」
「はい……」
(押しの強さは政宗並みだな)
明後日の方を眺めてじっとしていると終わったのだろうか、慶次は手ぬぐいを洗っている。
終わったぞともいわれなかったので様子を眺めていると、慶次が固く絞った手ぬぐいを手にまた近寄ってきた。
(……まさか)
慶次「逃げるな。ほら仕上げ拭きだ」
「ぶっ!?」
またしても手ぬぐいをベシャっと押し付けられて、ごしごし拭かれた。
ガードしようとした両手は行き場所をなくしてホールドアップ状態だ。
慶次「よーし、綺麗になったぜ!ゴボウの汁ってやつは案外しつこいんだな」
なんだかもう抗議する気力もない。
「ありがとう…」
慶次「このくらい俺のとこの似生に比べればお安い御用だ」
「似生?」
流れ的にペットの名前だろうか?
慶次が何か飼っているって聞いたことなかったけど、慶次のイメージからすると熊とかイノシシとか、気性の荒い動物が思い浮かんだ。
一緒にお相撲していそうだと密かに思って居ると、慶次は金の猫目をすっと細めた。
慶次「似生はブタだ。庭で遊ばせてやると、さっきのお前みたいに汚くなって帰ってくるんだ」
「ブタ…意外だね。慶次ってもっと大きい動物を飼って、お相撲している感じがしたから」
慶次「はっ、お姫さんの想像は豊かだな。
ほら、口元拭いておけよ」
ちょっと皮肉っぽく笑われて、気を悪くさせちゃったかなと気にしながら、手ぬぐいを受け取った。
唇を拭こうとして手を止めた。
「慶次、ごめん。こんな綺麗な手ぬぐいでゴボウの汁なんか拭かせちゃって」
男性が使うには派手な柄の手ぬぐいは、華やかさもさることながら渋みのある色具合で、とても素敵な一品だった。
クリーム色の花弁の部分に茶色っぽい汚れが付着している。